「湯」を楽しむための温泉事始

山陰の名湯・秘湯を満喫するために…。

山陰地方(鳥取・島根両県域)には90ヶ所以上の温泉地があります。その数からもわかるように、山陰に暮らす人々にとって「温泉」は特別の観光などではなく、暮らしの「湯」として親しまれています。湯治の湯、太古の湯、癒しの湯、美肌の湯、絶景の湯、家族でのんびり湯…と人それぞれに「湯」の楽しみ方は千差万別。
“知る人ぞ知る湯処・山陰”は賑やかな温泉街からひっそりとたたずむ秘湯、また地元の人も利用する日帰りの湯や気軽な足湯まで、あなたのお気に入りの「湯」がきっと見つかるはずです。

初心者必見! 温泉事始六箇条

其の一、そもそも温泉とは何ぞや?

“温泉”とは、温泉法で「地中から湧出する温泉、鉱水及び水蒸気、その他ガスであって、採取された時の温度がセ氏25度以上であるか、又は定められた物質の一つ以上を一定量以上有するもの」と定義されています。

「リチウムイオン」「水素イオン」「沃素イオン」「フッ素イオン」「メタけい素」「重炭酸そうだ」など19の特定の成分が定められています。

其の二、温泉の効果とは何ぞや?

温泉パワーは3つの合わせ技温泉は古くから病気の治療などにも用いられてきました。その効能や効果の多くは現代医学でも有効性が認められています。温泉は大きく3つの作用が合わさって効力を発揮します。

  • 浮力や水圧などによる物理的作用
  • 温泉により患部が温まる温熱作用
  • 温泉に含まれる成分による化学的作用
泉質名 浴用の適応性
単純温泉
(アルカリ性含む)
無色透明で刺激が少なく、肌触りが良く病後回復期の静養、手術後の療養、骨折、外傷後の治療のために広く利用される。
塩化物泉
(食塩泉)
体がよく温まり、浴用で筋・関節症、打ち身、捻挫、冷え性、慢性婦人病、月経障害、不妊症、病後回復などに効果がある。
炭酸水素塩泉
(重曹泉)
重曹を多く含む温泉で、アルカリ成分の働きで美肌効果が高いことから「美人の湯」とも呼ばれている。切り傷や慢性皮膚炎に効果がある。
硫酸塩泉
(芒硝泉)
硫酸イオンを多く含む温泉で飲むと苦みがあり、薬用効果が高いことから古来より「中風の湯」「脳卒中の湯」「傷の湯」などと呼ばれている。
二酸化炭素泉
(炭酸泉)
炭酸ガスの効果で毛細血管が拡張し体が温まり、高血圧、動脈硬化症に効果がある。また、飲むと胃腸によいとされる。
含鉄泉
(鉄泉)
温泉に含まれる鉄分と空気中の酸素が反応し、酸化鉄になることから次第に茶褐色に変わる。婦人病や貧血に効果がある。
硫黄泉
硫黄の独特なにおいが特徴の温泉。療養効果が高く硫黄の持つ殺菌力から、特に皮膚病によいとされる。
放射能泉
(ラドン泉)
含まれる微量の放射線(ラジウム)には体の免疫力を高める作用があるといわれ、飲用すると利尿作用もあり、療養効果が高いとされている。

其の三、飲んで効く温泉もあるぞよ。

飲める温泉もあるのね…飲む温泉とは不思議な感じもしますが飲泉といって古くからあります。
すべての温泉が飲めるわけではないのでご注意ください。

飲泉を行う時の注意事項

  • 飲泉許可があるか確認します。できれば温泉療法医の指導の上行ないましょう。
  • 飲用は指定された量を必ず守りましょう。
  • 飲泉は食事の30分~1時間前を目安にしましょう。
  • 就寝前の飲泉は控えましょう。
  • 飲泉は現地で飲むのが原則です。持ち帰りは控えましょう。

其の四、元祖・正統入浴法!

  1. 初めに入浴は3~10分程度、後、徐々に延長すべし。
  2. 入浴中は体の力を抜きリラックスすべし。
  3. 入浴後に温泉成分を流し去るべからず。
  4. 熱いお湯には急に入浴するべからず。
  5. 食事の直前直後、飲酒後には入浴するべからず。
  6. 入浴後は、湯冷めに注意してしばし安静にすべし。
  7. お年寄りや体調の悪い人は必ず複数で入浴すべし。
  8. 心臓病や高血圧、動脈硬化症などの人は、熱いお湯への入浴は慎むべし。

其の五、温泉を利用できない病気もあり!

良いことづくめのような温泉ですが、病気によっては利用を控えた方がよい場合もありますのでご注意ください。

入浴の場合

急性疾患、結核、悪性腫瘍、高度な貧血、重い心臓病、出血性疾患、肝不全、妊娠中、皮膚粘膜が敏感な人、鉱泉過敏症など

飲泉の場合

腎臓病、高血圧症、下痢中の方など

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湯治に代表される温泉の治癒効果には転地効果があります。転地効果とは、環境の変化により体の調子が整えられ健康が増進することをいいます。それに加え森林の樹木から発散されるフィトンチッドと呼ばれる物質には血圧を下げ心身を鎮静化する効果があり、温泉との相乗効果が得られるとされています。

転地効果を期待するには3日から1週間程度の滞在が望まれます。

「湯」を楽しむ色々な入浴法

全身浴

肩まで風呂につかる一般的な入浴法

page-kotohajime_img_05通常42℃程度の温泉に肩までつかる本来の入浴スタイルです。肩まで熱い温泉につかる気持ちよさはストレス解消になり、本来の温泉の楽しみ方といえます。
体に負荷をかける分、ダイエット効果や血液やリンパ液の循環を活発するといった健康でのプラス面がありますが、心臓に負担が大きく、のぼせやすく長湯ができないため薬理効果を得にくいといったマイナス面があることから、分割浴などの工夫が必要です。

半身浴と腰浴

下半身を湯船につける体に負担の少ない入浴法

頭寒足熱、すなわち上半身は涼しく、下半身は暖かくすることが健康増進につながるという考え方があります。温泉にこれを応用したのが半身浴です。半身浴は、お湯がヘソから胸までの間(みぞおちくらいが適当)にくるように入浴してください。
また、腰までの入浴法を腰浴といい、下半身から温泉成分が体に浸透、上半身の発汗促進などの効果があり、心臓への負担も少ない入浴法です。
上半身が寒く感じるようであれば、乾かしたタオルを掛けるか、かけ湯をするなどの工夫をしてください。

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  • 心臓より遠い部分から順にかけ湯(立ちくらみ防止に、入浴前に頭から10杯程度の温泉をかぶる)を行う。
  • 5、6分程度の半身浴を行う。
  • 温泉を楽しむため軽く肩までつかる。
  • 5分程度の休憩を入れながら、入浴を数回繰り返す。
  • 肌に付いた温泉の薬効は3時間以上持続するので流し去らない。
  • 入浴後には30~60分ゆっくり休み、1日3回を限度として複数回実施する。

寝浴

全身浴でありながら体の負担が軽い理想的な入浴法

page-kotohajime_img_07寝た状態で温泉につかる寝浴は、全身浴の気持ちよさが得られ、かつ心臓への負担が軽い、理想的な入浴法です。ただし、気持ちよさゆえに眠ってしまって必要以上の長湯にならないよう注意しましょう。寝浴を行う場合は、必ず2人以上で入浴してください。

自然と一体リラックス入浴法「浮遊浴」

浴槽の縁に頭を乗せ、体を自然に無理なく浮かせるような感じで入浴するのが浮遊浴です。息を吸うと体は浮き、吐くと沈みますが、首に力が入らないようこの浮き沈みに身を任せリラックスしてください。少し難しいので濃度の高い塩化物泉での実施がおすすめです。

ご注意

本コンテンツは、温泉をより一層お楽しみいただくことを目的として、その利用法(入浴など)の例をご紹介するものであり、温泉の効能・効果を保証するものではありません。ご自身の体調などをご考慮の上、楽しく安全に山陰の温泉をお楽しみください。